note

2024.7.15

「小暑、縁側にて」後書き


「結びの日」軸で夢っぽさは少し薄めですが、あのまま願ったとおりの町での健やかな暮らしを、梅ちゃん中心にまとめたものです。人も空気も悪かった遊郭では抜群の美貌ですべてを許されてきた梅ちゃんなので、そうではなくなった健全な環境下でどう育っていくか。染まりやすい素直な性格のお前、という妓夫太郎の表現はきっと正しくて、もうどんな我儘や暴言を吐いても許される訳じゃない代わりに、普通の子どもとして可愛がって貰える毎日の中で色々自発的になったり、屈託のない笑顔がますます輝いていたら素敵。勿論根底にはお兄ちゃんと一緒という絶対の土台があり、そこには夢主も、幸太郎もいて。可愛がられつつも、自分からどんどん町のひととも関わって生き生きしてる梅ちゃんを描きたかったので、ここに残せて良かったです。多分梅ちゃんは根本的には勉強好きなタイプじゃないのですが、知らないことを知りたい、自分に何が出来るかを探すための勉強、という根っこが幸太郎との第一歩にある為、良い方向に熱意が活きています。知らない分、スポンジみたいにどんどん吸収していく。わからなければ幸太郎なり夢主なりが補助してくれるし、どんなことも報告すれば妓夫太郎が褒めちぎってくれる。 結びの日は生存ifなので本筋とは異なるのですが、それぞれの世界線で皆幸せだったら良いなぁ、と。この世界線の梅ちゃんはきっとこの先も、健やかで前向きで、子どもとしてのびのびと成長していくのだと思います。