note

2024.6.6

「Nの旅路」後書き


Nの旅路は長編のふたりが流れ着いたかもしれない可能性のひとつでした。
本来妓夫太郎は遊郭編の戦いで命を落とさないと本筋と違って来る為本当に小さな確率ですが、梅ちゃんが花魁の姿をしていたように、人間の真似事が熟練された妓夫太郎を一度書いてみたかった私の欲のかたまり。愈史郎と妓夫太郎は相性は良くないでしょうけどもお互い最後の鬼なので何だかんだと助け合える間柄だったら良いな・・・。
そして、同じ時間は生きられないけど夢主を何度でも必ず見つけるという約束を永劫守り続けることで、梅ちゃんを喪った絶望を何とかかんとか埋める妓夫太郎。でも恐らくこの時間軸では梅ちゃんは転生して来ません。何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる、絶対に。妓夫太郎は梅ちゃんを待ち続けますが彼が鬼として存在し続ける限りは再会出来ないという悪循環。それゆえ妓夫太郎にとって夢主が拠り所となる濃さが回を増すごとに不健全に強まっていくという、ふたりでいれば幸せは幸せなのですが苦さも確実に蓄積される時間軸でした。やはり兄妹はふたりでひとつなので。本筋では皆一緒の為明るく幸せです。
基本的にはハッピーエンドが好きなのですが、稀にこういうちょっと曇ったのも書いてみたくなったり・・・普段以上に色々外れた単発話でしたが、お付き合いいただけた方ありがとうございました。